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東京高等裁判所 昭和52年(ネ)1659号 判決 1978年4月17日

控訴人

原崎勝次

原崎初江

右両名訴訟代理人

萩田信太郎

大橋昭夫

被控訴人

安田火災海上保険株式会社

右代表者

三好武夫

右訴訟代理人

御宿和男

廣瀬清久

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実《省略》

理由

一当裁判所も、原裁判所と同様に、控訴人らの請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決理由欄の記載と同一であるからこれを引用する。

1  原判決一〇枚目裏五行目「本件自動車の所有者は、」から同一一枚目表七行目全部までを、次のとおり改める。

「秀美は、本件自動車の所有者である控訴人勝次から無償で貸与を受け、その権利に基づいて本件自動車を常時運行の用に供していた者、すなわち右勝次と並んで本件自動車の保有者であり、本件事故当事渡辺に運転を許していたからといつて、右保有者たるの地位を失つていたものではないから、秀美は右の「他人」に該当しないことが明らかである。」

2  原判決一一枚目裏三行目の「原告勝次は、」から同一二枚目表一行目全部までを、次のとおり改める。

「控訴人勝次が渡辺に本件自動車を使用する権利を与えた事実は認められず渡辺が独占的に本件自動車を使用していたのでないことは明らかであつて、右主張は採用し難い。」

3  原判決一二枚目表七行目の「本件事故当時、」から同裏二行目全部までを、次のとおり改める。

「本件事故当時、秀美は保有者として運行供用者であり、渡辺も又自己の利益のために運転していた運行供用者であつたが、両者のいずれもが運行供用者である以上、自動車の運行及び構造機能の安全に関し双方とも高度の注意義務を負い、自ら生じさせた事故発生の危険について双方とも責任を負うべき立場にあつたものである。ところで、自動車損害賠償法三条は、自動車の運行について関係がなく注意義務を負わない「他人」と、前記のように運行等に関し高度の注意義務を負い事故の危険について責任を負うべき「運行供用者」の間において、運行供用者に事故に関して責任がない事由(同条但書の事由)について一方的に立証責任を負わせ、当事者間の衡平をはかつているのであるが、運行供用者相互の間においては、特別の事情がない限り、右のように一方のみの責任を特別に過重すべき理由がないといわざるをえない。それ故、同条は、運行供用者相互間においては、特別の事情がない限り適用がないものと解すべきであり、前記認定の事実関係の下では、右の特別の事情は認められない。よつて、控訴人らの主張は、この点でも採用するに由ないものである。」《以下、省略》

(松本信和 糟谷忠男 浅生重機)

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